テクノロジーの進化によって、パソコンや携帯電話へとよりパーソナルなマーケティングが可能になったわけですが、湯川さんが最近注目している事例はありますか?
近頃は、モバイルがおもしろくなってきていますよね。今年の6月4日に発表された『モバイル広告大賞』で、マクドナルドの『トクするアプリ(おサイフケータイ)・トクするケータイサイト』がグランプリに輝きましたが、特に注目したいのは同時に『マーケティング部門』の優秀賞を受賞していることですね。これは、携帯を読取機にかざすだけで注文や会計を済ますことが出来るという便利なもので、個人の購買履歴やデータなどがリアルタイムにわかります。例えば、特定の地域や時間帯にあまりハンバーガーが売れていないということがわかれば、午後からはこのクーポンを出そうというように売上げをコントロールできるというわけです。関係者の話では、まだ展開途中ということでその効果などは提示されていないのですが、実際に効果が立証されて日本全体に知れ渡れば、国内の事業者さんは一斉に乗り出してくると思いますよ。
少し前のことですが、2006年にケータイサイト『ディズニー・モバイル』が、『ディズニー・アート展』で行ったおサイフケータイ向けサービス『Disney's Touch Pass』の実証実験の結果には、大変興味深いものがありますね。
そのような新しいマーケティングの仕組みは、海外でも同じように存在するのでしょうか?
いえ、このような携帯電話の使い方をする国は日本くらいですから、海外ではまだ事例がありませんね。というのも、おサイフケータイが搭載されている端末を売っているのは日本だけなのです。おサイフケータイがここまで普及し、大半の携帯電話にGPS機能が搭載された環境は日本以外にはありません。つまり、今回のマクドナルドのかざすクーポンや前回お話した『三河屋さん』のようなマーケティングを行える国は、今のところ日本しか無いでしょうね。
アメリカでは、どちらかというとTwitterやSNSなどのコミュニケーション内に存在する人間関係をベースにしたパソコン向けターゲティング広告『ソーシャル広告』が流行しています。例えば、ソーシャルゲームを作って広告を絡ませるという方法や、映画に関するゲームを作ってバナー広告を貼るなど、ソーシャルメディア内の友人間の情報発信を活発化させたところで、広告を出すという手法が最も新しいですね。
次世代マーケティングの可能性を教えて下さい。
マーケティングの次の段階としては、シリウステクノロジーズが展開する『アドローカル』などのような、GPSや位置情報を使った広告が注目されるようになるのではないでしょうか。また、アメリカで成功しているパソコン向けのソーシャルゲーム広告をモバイルで展開という可能性もありますよね。あとは、非常に大きなマーケットであるにも関わらず、いまだ手付かずの高齢者や団塊世代という魅力的な層への展開にも注目したいですね。
次世代へ向けて、現在のマーケティングには未知なる可能性が十分に秘められていると思いますよ。 |