「Web3Dから3Dインターネットへ、そして広告への発展」
ネットワークゲームともSNSとも違う、新しいコミュニケーション手段である3Dインターネット。一体何が面白いのか?なぜ人は個々に集まるのか?また、その抱える問題点は何であるのか?2007年のブームを経て過去と現状はどうなっているのか?それは広告としての可能性はあるのか?
「3Dインターネット」・・・聞きなれない言葉と感じる方も多いと思う。ここ1年ほど前から出てきた言葉で、その前は「3D仮想世界」、さらにその前は「Web3D」と呼ばれていた。ゲームや映画などで活用が進んでいる3次元コンピュータグラフィックスをインターネットを通じて表示させる技術である。映像の場合、あらかじめ用意された映像を流すだけなので、ユーザが操作することができない。ゲームの場合、コントローラで自由に世界を動き回ることができるが、これもあらかじめゲームの世界がCDやDVDに記録されているので、それ以上の変化は無い。また、ゲーム機と個人との対話のみであり、なんらコミュニケーション手段が無く、ニート(引きこもり)の原因にもなっている。
その3次元ゲームとインターネットと融合させることで、Webサイトを構築するがごとく、ユーザーが独自でゲームのような空間を構築したり、そこでコミュニケーションをのが「3Dインターネット」である。「オンラインゲームなのでは?」と思う方がいるかもしれない。実は基本的な仕組みは同じであるが以下の点が異なる。
1.ゲームと異なり「冒険」や「レベル」が存在しない。
2.戦闘することができるが、必須ではない。自由にライフスタイルを決めることができる。
3.自分で服や道具、建築物を自由に作成することができる。
4.仮想的な通貨があり、それで物や土地を売買できる。
5.自分自身のキャラクターを「アバター」と呼ぶ。
「それが何が面白いのか?」とゲーム好きな方は3Dインターネットを体験された方は、口を揃えて否定する場合が多い。しかし、ゲームをしない人のほうが圧倒的に多いことが重視して欲しい。たとえば以下のようなことが可能なのである。
1.設計段階の新車の展示会で試乗する。
2.全部屋が存在するマンションのモデルルームを体験する
3.現実に購入予定のインテリアや電気製品を自由に配置して、生活してみる。
4.現在の部屋をリフォームして生活してみる。
5.危険でやったことが無いスポーツやイベントに参加する。
6.宇宙や深海、過去や未来の世界へ旅行する。
7.高額で買うことができない最新のファッションを理想の体型で着こなすことができる。
ちょっと考えただけでもこれだけの商業的な可能性を秘めていることが判っていただけることだろう。この構想は、1995年ごろ、まだ日本にプロバイダが無いころに既に学会で企画された。これが「VRML=Virtual Reality Modeling Language(仮想現実モデリング言語)といい、国際規格として1997年に制定された。しかし、当時のコンピュータのパワーと回線速度が低く、とても楽しめるレベルのものでは無かった。その中でも「さぱり」など現在は残っていないが、多くのユーザを集めコミュニティとなった。
そこで、1998年ごろから、米のネットバブルも後押しし、国際規格を無視した企業独自の様々な企画が発表されてきた。これらが「Web3D」と呼ばれる。もちろん表示させることは可能であるが、アバターを排除しログインがないことで商品宣伝に特化できる点もよい。Web3Dの問題点は、その規格の乱立にあった。3Dを表示するために、表示ソフトを複数インストールする必要があり、混乱を招いた。また、コンテンツの価格が高額で、掲載するコストが高いのも問題であった。(これは現在は多くが改善しており、安価になっている)日米不況のあおりを受け、多くのメーカが消えたり方向展開してしまったが、その代表的なものが「Viewpoint」だろう。
現在でも根強くユーザが残っており、日本語かも進み、これからの発展が期待されている。金属やガラスの質感など、製品の広告としての十分な品質を備え、高度な圧縮技術で細かい3Dモデルを軽く転送する技術はすばらしい。
それに代わり2005年ごろから2007まで発展してきたのが「3D仮想世界」である。SF小説の「スノウクラッシュ」、SF映画の「マトリックス」の影響を受け、コンピュータの中に別の世界を作るということを実現した「メタバース」とも言われるシステムである。まさに3Dインターネットの雛形であるのが「セカンドライフ」である。
米リンデンラボ社の3次元仮想世界で現在でも世界的なユーザを持っている。一応の期待が見え、マスコミ報道などで2007年にブームを迎えたが、現在は企業の広告活動としてはほぼ消滅している。その原因として以下の問題がある。
1.身分を明かせないので商業利用できない。
2.メーカの都合で勝手に停止する。
3.ギャンブル、セックスなどのモラルの問題が完全でない。
4.多人数は入れない。(30人ほど)
5.セキュリティの関係で学校や企業では使えない。
6.操作が難しい。
では、3Dインターネットに未来は無いのか?というと、そうではない。どんなメディアもテクノロジーも試行錯誤の後の淘汰により完成度を高め、スタンダードになっていくものであり、ここまでの話は過渡期の歴史の一部である。
では、次回その突破口になるべく「プラスプラス」という企業のテクノロジーを解説していく。 |